Franco minucci㉖

フランコのジャケット

以前もお話しましたが、フランコのジャケットはほとんどが地元フィレンツェのサルトリアのものです。私もオーダーしていたSartoria Seminaraのジャンニ氏も「フランコのモノを製作するときは、ほどよい緊張感がある」と言っていました。なぜなら、彼が最もこだわっていたのは、あくまで着心地。相当数オーダーしたセミナーラでさえも、一度袖を通した後に二度と着なくなった彼のジャケットを何度見たことか…。こまかなディテールなんかはその時の遊び心程度だと思います。そんな彼の仕様の最たる特徴は、センツァインテルノ(裏地なし)です。とことん軽さを求めていた彼ですから当たり前の仕様なのかもしれません。生地により裏地をつける時もありますが、当然の如く背抜きにはします。内ポケットも胸裏の左右のみか、センツァインテルノにした場合は、左胸に1つ。タバコポケットとか携帯ポケット的なものは彼の中には存在しません。後、生地選びは「どこそこの生地メーカーの・・」なんてことを言っていることは聞いたことがありません。これも以前にお話ししましたが、自身の手で触った感触を一番の判断基準としています。だからトスカーナ特有の伝統的な生地̠カセンティーノやツイードなんかの固く重い生地の選択枝はありません。裏地やボタンホールもすべて同系色。ヨーロッパ全体に言える事だとは思うのですが、やはりメンズ服は女性を際立たせるためにあるべきもの、という考えが根底にあります。だからこそ、フランコは、男が洋服にこだわるべきは「軽さ」「柔らかさ」「抜け感」に到達したのだと思います。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です